東京選抜合宿 03


「技能テスト終了!
昼食をとった後、午後練習を始めます」

「ビブス回収しまーす」が言った。
はいらついている様子だった。

選手たちはにビブスを渡す。
先ほどに群がっていた奴らは気まづいためか、
そそくさと食堂へ向かった。

「ほら、ビブス返して」
は風祭にむかって言った。
「あ!ご、ごめん」
風祭は慌ててビブスを脱ぐ。
「ありがとう!」
風祭はさわやかな笑顔でビブスを渡した。

「さっきのプレイ、好きだな
午後もがんばってね」
風祭は顔を赤らめながら
「あ、ありがとう」モゴモゴと言った。

それを見て小岩が「ひゅーひゅー」
「あーあっついあっつい、なー風祭!」
「こ、小岩君!」

「そこの赤メッシュも、さっさとビブス返して」
は気づいてない様子だ。
「お!わりぃ、わりぃ」
「キミさ、50m走一番早かった子でしょ
取り柄あったんだねー」

小岩はカチンときた。
「あ?それはどーゆー意味だ?」
「え?」はきょとんとしている。
「小岩君!」風祭がとめる。
「なにしてるの?」杉原だ。
「…なんでもねーよっ」小岩はくるっと背をむけ食堂へむかった。
「さ 僕らも行こう」杉原が向かおうとした。

「そこの糸目の子も、ギブス返して」
「あ、ごめん」杉原は脱いでに渡した。
「ねえ、今の子さ、なんで怒ったの?
もしかしてまた変な事言ったかなあ」

(そっか、この子悪気はないんだ)風祭は思った。
「え?小岩君、何かあったの?」杉原が風祭に聞いた。
「うん、ちょっと…でも大丈夫だよ
僕のほうからも言っておくけど、あとで自分で謝っといたほうがいいよ」
風祭は優しくに言った。

「ありがとう!
キミちっさいのに頼りになるね!」

風祭は少し傷ついた。
(なるほどね)杉原はそれを見てすべて把握した。

● ● ●

そのすぐ後

「玲」翼が言った。
「どうしたの?」
「ビブス、どこに置けばいいの?」
「ああ、それはに渡してちょうだい」
…(誰だっけ)?」翼はすこし首をかしげた。
「また話をまともに聞いてなかったのね」玲は呆れ顔だ。
「俺はあの監督を認めてないからね
話を聞く時間がもったいないよ」
「まったく、」玲はため息をついた。

「翼!早く行こうぜ!」
むこうで呼んでいる彼は翼と同じ
飛葉MF(中2)
黒川柾輝だ。

「おう!今行く!サンキュ玲」
ならあっちのほうにいるわ それじゃあね」

「監督となにしてたんだ?」黒川が翼に尋ねた。
「いや、ビブスをどこに置くのか聞…柾輝お前 ビブス誰に渡したんだ?」
黒川はビブスを身に付けていなかった。
「ああ、さっきあっちのほうでビブス回収してたからよ」
「なんだよそれ早く言えよなー!」
黒川はへいへい、と軽く流した。
翼のほうが年上(しかもキャプテン)なのにこの会話。
余程仲が良いことがわかる。

「ビブス返してない人は早く返してー」
がいらいらしながら言った。

「お、あれあれ」黒川がを指さす。
翼はに近づき「どうも」と言ってビブスを渡す。

「もーちっさいくせして遅いわね」
はわかるように言ったのか聞こえる声で文句を言った。

それを聞いた翼はむっとして
「ぼくよりも小さいくせによく言うよ
ちいさすぎて見つかりにくいんだからもっとわかりやすい所にいたらもっと早く渡せたと思うけど?
自分でなんも考えないくせに人のせいにばっかして やだねー脳みそもちっちゃい奴は」
お馴染みのマシンガントークだ。
これはまだ序の口。

はさらにカチンときた。
しかし、翼よりも巧みに言い返せない。
「なによ!ばか!」

「あー可哀想だねボキャブラリーの無い奴って
それに…」
「おい、もういいだろ、そのくらいにしとけ翼」
黒川がとめにはいった。
「ふん」翼はスタスタと行ってしまった。
「悪かったな、あんま 気にすんなよ」
黒川が気を使ってその場を後にした。

「ふん」
のイライラはますますひどくなった。

● ● ●

はギブスを持って洗濯しに行く。
「はーっ重たい!」
よいしょっと洗濯機に45人分のビブスを放り込む。
(まったく、なんでがこんなこと…しっかもムカツク奴ばっか
とくにあの赤毛のチビ!あーむかつく!)

もう!めんどくさい!と言って洗濯機に八つ当たりをする。

「ぷっ」

「誰?」は声のするほうへ目をむけた。
すると一人立っている。

「いや、わりぃ 聞くつもりはなかったんだけど」
彼は明星FW(中2)設楽兵助。

「キミだれ?」
は設楽に向かって尋ねた。
「設楽。なにいらついてんの?」

「したら…?ふーん べつに、なんでもないよ」
はぷいっと顔をそむけた。
まだいらついているようだ。

設楽は洗濯機が動いているまん前の椅子に座った。
と隣あわせになる。

「マネージャー嫌なの?」
設楽はするどいとこについてきた。

「嫌ってわけじゃ…嫌だけど」
「はは、素直だな じゃあなんでマネージャーやってんの?」
「やりたくなかったわよ、でも合宿に来てくれってうるさくって」
はふうっとため息をついた。
「キミってほんとに素直に言うね」
設楽はちょっと驚いている。
確かにはどんな意味でも素直に物事を言い過ぎる。

「あ ごめん、の悪いくせなんだ
いっつもそれで人にやな顔されちゃう
だから友だち少なくって」
「ふーん」
(ふーんって…)
「じゃあ友だちになってやるよ」設楽は言った。
「え?」は驚いた。
「もうそろそろ午後の練習の時間だな
じゃあ俺行くわ」設楽は立ち上がった。

「あ、うん 話聞いてくれてありがとう」
「気にすんなよ が可愛いからだし」
んじゃ そう言って手を振り去って行った。

「…」は少し複雑になった。

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あとがき

はてさて設楽はこの設定で大丈夫なものか
そんな時は黒川君!はい拍手

黒川「いや俺もわかんねーよ」

そんなこと言わないでよー
大丈夫だよね、ね?

黒川「しらねーっていいんじゃねーの(どーでも)」

ですよね!あーよかった
にしてもちゃん、性格悪いです
まあ天然ってことで許してあげましょう

黒川「なんでそんな奴ヒロインにしたんだよ」

そんな呆れないでください、
いい子ちゃんは苦手なのです

黒川「へーへー」
翼「おい柾輝、なにやってんだよ」

げ、

翼「あ?なにこれ」
黒川「なんか“あとがき”らしいぜ」
翼「あとがき?こんな駄作にそんなもの必要?」

ぐはっ翼のばか!
そんなんだからちゃんに嫌われちゃうんだよ

翼「はんっ あんなのに好かれても嬉しくないね
それにぼく一言もあの監督を認めてないなんて言ってないけど?
しかもだいたい話が強制的で…」

はい、強制終了☆
続きを楽しんでください!

やん後ろから殺気がする!



20081130